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HiGH & LOW THE 戦国 感想

千秋楽より1週間経ちましたが、『HiGH & LOW THE 戦国』(以下ザ戦)きっかけでスカイステージに入り直したり、タイム感ギチギチでキャトルレーヴに乗り込んでいたりしています。宝塚への熱を取り戻しつつあるので、ザ戦への思い出語りをしようと思います。

長い前振りをします。私は所謂「たまちゃぴ*1」「だいきほ*2」世代のヅカオタで、だいきほの退団と生活環境の変化で宝塚とは少し距離を置くようになっていました。ヅカオタがメインだった時期から、水美さん瀬央さんは好きなジェンヌさんです。昨年、『1789』で瀬央さんのアルトワが決まり、心を躍らせ、何ヶ月も前からチケットを抑えていましたが……中止となってしまい、それからかなりショックで、配信も映画も見ず、結局今の今まで星組『1789』は見ていません。水美さん瀬央さんの専科組替えや、劇団の諸々の対応にガッカリした件の問題で、いよいよ完全撤退しようかと思っていました。ザ戦の発表はその前後だった記憶しています。

LDH・ハイローに関しては、『HiGH & LOW THE WORST』をきっかけにちゃんと見始め、『HiGH & LOW THE WORST X』では初日鑑賞で大号泣してから、結果4回は映画館に行ってました。なので、どちらかと言うとハイローというよりザワのが好き。ヅカローに関しては、私の中で「宝塚歌劇団がハイローをやっている」ことが受け入れられず見ていません。でも芹香さんのROCKYは気になっている。あとはLDH舞台の『ETERNAL』を軽く見たことがあったり、ザ戦ライビュの数日前にFANTASTICSで、LDHライブ初参戦をしたり、LDHはライトに楽しんでいます。THE RAMPAGEはハイローのおかげで、半分ぐらいは顔と名前が一致する程度なのでにわかですが……

ザ戦について。10/31の朝っぱらからそれはそれは目を疑いました。当時の私「ハイローなのにせおまいがいる?」「確かに私はハイローもせおまいも好きだけど?」「てか戦国って何?」でした。まず、ハイローがあれだけ拳にこだわってきたのに、急に拳から刀に変わって、戦国を始めることがまあまあわからなかった。それでいいのか?……いいんだ……と思った。水美さん瀬央さんに関しては、これがヅカローと違うのは、ちょっと厄介ですが「宝塚歌劇団がハイローをやることは受け入れられないが、LDH・ハイローカルチャーに参入するジェンヌさんは見てみたい」という心持ちなので、ヅカローのときのような拒否感はありませんでした。あと私は何故か専科で一緒になる前から、水美さんと瀬央さんがセットで好きという先見の明を持っていたので笑 ……というわけで、前振りが大変長くなりましたが、ザ戦についての感想に入ります!

 

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https://www.high-low.jp/sp/stage/sengoku/ 

HiGH & LOW THE 戦国

演出:TEAM GENESIS

脚本:平沼紀久渡辺啓

 

千秋楽ライブビューイングにて鑑賞。某映画館はざっと見た感じは宝塚ファンのが多そうに見えたけど、私の周りはLDHファンが多く感じたので、ファンの風貌も年齢層もバラバラで、まさにコラボレーションならではの味わい深さがありました。

1回しか見ていないので、ゆるめの感想です。

 

「ライブ感」を楽しむ舞台エンターテインメント

ストーリーはハイローを知ってる側からすれば、シンプルに「ハイローの世界観と価値観を戦国時代に置き換えた」と思ったので、すんなり入ってきました。架空の戦国時代の国争いでSWORDのように、五つに分かれた国があり、その争いには裏で糸を引く黒幕いて、最終的に一致団結して黒幕に立ち向かうといったもの。 もちろんハイローなので、LDH仕込みの楽曲の歌唱も合間に入るのですが、マイクつけてるのにハンドマイクで歌うんですね笑 これも「新しいエンターテイメント」と言ってしまったらそれまでなんですが……ハイローにはそれぞれのチームやキャラクターにテーマソングがあるので、劇中でハンドマイクで生歌唱するのは、あくまでテーマソング(キャラソン)の位置付けであり、ミュージカルではないんだろうと。ステージだから、生で歌おうといった思惑だろうか。湧水(水美舞斗)の場面では、ハンドマイクを持たない歌唱あったのですが、あれはミュージカル的演出なんだろうなと。 マルチバースの戦国時代だと思えばその他の、横文字やラップを入れる歌唱場面、派手な衣装、ストリートカルチャー的なダンスパートはすんなり入ったんですけど、ハンドマイクだけは最後まで私的には違和感が拭えませんでした……なかなか難しいですね。

それも踏まえてですが、本作は非常にライブ感が強く、メインキャスト以外も世界レベルのパフォーマーたちが勢揃いで非常に見応えがありました。あまり情報を入れていなかったので、見ながら知ったのが、水美さん瀬央さん以外にも女性がいて、バッキバキに踊るタイプのダンサーさんでした。ダンスの雰囲気や風貌が東京ゲゲゲイ*3を彷彿とさせてカッコよく、主に黄斬(片寄涼太)の周りで蠢めく呪いの象徴の場面での動きが、禍々しくて好きでした。KADOKAWA DREAMS、覚えた。

あと、トリッキングってすごいですよね。これも去年初めて知ったジャンル。ライブビューイングでも伝わる派手さと、見てるこっちがヒヤヒヤするパフォーマンス。トリッキングのパフォーマーは桜井鷹さんで、調べたら、去年知るきっかけとなったフリースタイルスペースで出ていたパフォーマーさんでした!

応援しているグループのメンバーと一緒にチームを組んでいたのでご紹介。この回で見事優勝を飾っていました。

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織田信長」というアイコンと男同士であること

前置きすると、1回しか見ていないので細かい設定が拾いきれてないのと、覚えていない部分があるので、間違っていたらごめんなさい。

本作は織田信長本能寺の変の場面から始まります。そこから、ザ戦の世界の戦国時代へと移り、織田信長がいる世界とザ戦の世界は違うと説明されているわけですが……ザ戦の世界は、織田信長の要素五分割的なイメージなんでしょうか。ここで、昨年見た舞台『刀剣乱舞』山姥切国広 単独行 -日本刀史- を思い出すわけです。刀ステと同じように、着想は逸話や二次創作における織田信長の色々な像な気がします。まず、須和国の黄斬と吏希丸(瀬央ゆりあ)は冒頭で織田信長森蘭丸を演じています。乃伎国の湧水と弦流(藤原樹)の主従関係は、信長と蘭丸の逸話の男色関係を連想させたり、尊武国は1番オーソドックスな信長のイメージ像に近いもの持っていたりします。残りの二国も何かしらの信長の要素があるんでしょうか……

そこでですが、冒頭で信長と蘭丸を出したのであれば、湧水と弦流の関係を「男と男が見つめ合うことが許されない世界」と禁忌として語るのは、ナンセンスな気がします。せめて、男と男であることが禁忌ではなく、主従でありながら恋愛感情を抱いてしまったことが許されないこと……程度でも良かったのではないだろうか。この場面見せ方が良かっただけに、気になりました。昨今より同性愛や性自認、性的趣向へのステレオタイプ的見方は改めようという意識があるからこそ、「同性愛は禁忌である」というのはいかがかと感じた。マルチバースの戦国時代なら尚更禁忌にせずとも表現できたのではないだろうか。

とはいえ、「男同士のでっっっかい友情」や「男同士の高湿度すぎる厄介な関係性」を今まで幾度となく見せてきたハイローが、ついに明確に同性愛描写を提示したのは単純にテンションが上がった。しかも、男役さんが(この言い方がベストかわからないが)本物の男を抱きしめるという構図。ありがとうございます。話は逸れるが、男役さん同士の明確な同性愛は私の思いつく中では『蘭陵王』なので、久々に見返したいと思った。

 

見たかった姿が見られること

冒頭でも述べたとおり、私は「専科で一緒になる前から、水美さんと瀬央さんがセットで好き」という先見の明を持っていました。証拠が残っていた過去ツイートでは2022年に「黒髪せおっちと金髪まいてぃで共犯逃亡劇が見たい」と言ってました*4。私の記憶では同じことを2020年から言っています笑 何故、水美さんと瀬央さんなのか。……おそらく、元々それぞれ特に好きなジェンヌさんだけど、同組に同期トップもいて今後どうなるかわからない……だったらいっそこの2人で共演すればよくない!?私は嬉しい!!という発想からだったような気がします。現実と化しました。 湧水と吏希丸が睨み合い、お互いの腹の中を探るひりついた場面……あの一場面しかなかったけど、むしろあってありがとう。すごく見たいものが見られて感動しました。

水美さんも瀬央さんも、歌芝居ダンスのバランスが良くて、私は特にお芝居の繊細さが好きです。水美さんだったら『アイラブアインシュタイン』の化け様には驚かされ、『A Fairy Tale』では少ない場面でも強い印象を残した包容力が好きです。瀬央さんはなんと言っても『龍の宮物語』ですよ。先日久々に見返しましたが作品そのものの名作っぷりは言わずもがな、瀬央さんの言葉の発し方の一つ一つに役の生き様がリアルの出ていて震えました。ザ戦はエンタメに寄っても、お二人の芝居パートの満足度も高いのも良かったポイント。しかも、水美さんには「良心が邪魔をして非情になれず、苦しみ涙する男」で、瀬央さんには「相棒の未来のためなら、嘘をつき命の危機をも厭わない良い男」という……私みたいなオタクにはめちゃめちゃ見たかったタイプだったのでハイローへの感謝で溢れました。 おそらく宝塚のシビアな部分で、瀬央さんの歌唱パートが一回だけというのが悲しいんですが、芝居は水美さんより多いんじゃないだろうか?というぐらいはあったので、お歌についてはちょっと寂しいけど、そこまで気を追うことはなかった。

宝塚に寄ってしまってますがもちろん他の皆様も素晴らしくて、個人的には舞台『刀剣乱舞』无伝筧十蔵が好きで覚えた、弧呂巣役の久保田創さんがザ戦でも良い味出してて、ほんと良い役者さんだな〜!と思った。あの発声が大好きです。エグゼイドぶりに見た颯斗役の小野塚勇人さんも、相変わらず良い。あの絶妙な抜け感が良いよなあと。三国もバランスがとても良くて、須和国は1番ハイローっぽくて、山王連合とか楓士雄の率いる鬼邪高みたいな空気感。乃伎国は宝塚ナイズドされた、今までのハイローになかった線の細い静かな美しさという感じ。尊武国はLDH濃度100%のフィジカル重視といった感じ。今回のある種異種格闘戦的な揃いに相応しいバランス感でよかった。また、これも色んな方が言ってるけど、水美さんの隣には藤原さんが、瀬央さんの隣には片寄さんがというように、今回の座組の男性陣の中でも比較的華奢な人を添えることで、水美さんと瀬央さんが女性的に見えない設計も見事だと思った。シークレットブーツなのか、自前なのか、身長差もほぼなかったので見事だったな。

 

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ザ戦のおかげで今は空前絶後のせおまいブームが起こっています。スカステのザ戦メイキング番組も見ました*5。可愛すぎて悶えました。せおまいブーム来てますよ。きっとこれは私だけでなく、ヅカオタさんや、これを機に新たに気になった方の間にも起こっていることでしょう。劇団には言いたいこと、どうにかしてほしいことは沢山ありますが、気持ち良く彼女たちの輝かしい姿が見たい。今度は本拠地である宝塚で……といったところです。

ハイロー戦国も続編が決まったので、今度も宝塚からのキャスティングはあるのか、全く違うカルチャーから参入するのか、気になるところです。それはそうと、ハイローに関してはそろそろSWORDの新規ストーリーはいかがですか?

そういえば、ザ戦千秋楽のスペシャルカーテンコールも粋な演出でしたね。流石全員主役を謳ってるコンテンツだなと感心しました。そんな中でLDHのオタクも、宝塚のオタクも舞い上がった、「水美さん率いるザ戦LDH&瀬央さんによる、24WORLD」あれすごかったですね……LDH本場の振りを本場の方々と踊る水美さん瀬央さん、あんまりにもカッコよくて興奮しました。そして、水美さんと藤原さんのハグで発狂する乃伎国のオタクの皆さん。あれは実質、湧水様と弦流のデュエダンでしたね……Love Dream Happinessな世界での湧水様と弦流……ところで、ザ戦はスカステで放送すると思う?(流石に厳しいのでは?)

 

水美さんも歌ってるザ戦のテーマソング(?)も配信して欲しかったけど流石に無理なんですね。というわけで2曲。ザワXからMA55IVEの曲いいなと思ったりなんなり。

open.spotify.com

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*1:珠城りょうさんと愛希れいかさん時代の月組

*2:望海風斗さんと真彩希帆さん時代の雪組

*3:私は5人だった頃の東京ゲゲゲイに思いを馳せています。

東京ゲゲゲイ オフィシャルサイト TOKYO GEGEGAY

*4:しかし黒髪金髪は見事に逆の形で実現するという笑

*5:3/27がおそらく最後になるので、見ていない方はぜひ見ましょう。

www.tca-pictures.net