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舞台『キングダムII-継承-』感想

本作、円盤化無しってそれ本当ですか!?……いやまあ、昨今私も配信の恩恵を受けているため、円盤を買わないことが増えており、こと東宝演劇については円盤の価値が2.5舞台の特典の豊富さに比べると劣る上に、肝心の本編のカメラアングルがしょっぱいところがあるので、まあ……って感じはあるんですが……それはそれこれはこれとして、折角の日本の原作漫画で日本での舞台化作品なのに、勿体ないですよ!……ということで、Huluでの配信でしたから、Huluでの個別課金配信常設ってことで検討していただけませんか?

 

youtu.be

https://natalie.mu/stage/news/684653
https://www.tohostage.com/kingdom2/

舞台『キングダムII-継承-』

脚本:笠浦静花
演出:山田和也
音楽:KOHTA YAMAMOTO

 

大千秋楽配信(信:高野洸さん、龐煖:章平さん、蒙武:飯作雄太郎さん)を視聴。『キングダム』はアニメ版と映画版をかいつまんで視聴、舞台版1作目は帝劇で観劇、円盤も視聴済み。

 

まさに「継承」を物語る演劇

前作が信と漂・嬴政のはじまりの物語を見せた反面、どうしても駆け足気味となり、場面をつなぎ合わせている印象が拭えなかったのですが、『キングダムⅡ』は 「継承」の サブタイトルの名の下、前作よりもまとまった印象を受けました。原作が超大作である分、ある程度連続性でメディアミックスが可能なアニメ版、映画版と異なり、あらゆる面で制約のある舞台という表現方法において、その制約を上手く演出として落とし込めていたのではと感じました。

王騎将軍から信に託される矛と大将軍の魂は勿論のこと、本作の開幕は羌象の回想であったことから、羌象が姉の思いを背負っていることや、王騎が摎の無念を抱えながら龐煖との決戦に挑んでいること、尾平が兄の思いを連れて故郷に帰還することなど、各々が抱える思いを「継承」という共通項の下に集約していった物語であった思いました。さらに、所々では謄を語り部として立てていることも、口伝≒継承という側面もあったと思います。まさに、舞台化のメディアミックスの妙、本作が全体的に見やすいと感じた巧かった点です。

また、これは舞台オタクとしてのメタ視点なんですが、山口祐一郎さんの王騎から、高野洸さん・三浦宏規さんの信に矛が渡されるというのも、舞台人としての継承みたいな光景にも見えてしまうんですよね。二度言いますが、これはメタ視点です。近年、長く山口さんが務めていた役どころが、次の世代に変わっていることもあり、そういったメタ演出にも感じられるなあ、感じられませんか……などという……山口さんも古希ですからね、いやあ驚き。古希でこの役をこの期間でシングルでやってるの凄い。 

 

殺陣芝居が「私に馴染みのある光景」になっていた

舞台『キングダム』の1作目を見て、惜しいなと思っていたのが殺陣の物足りなさでした。動ける人は多くいたと思うのですが、どうも見せ方が個人的に物足りない。映画版があのダイナミックさであったのなら、舞台版は劇団新感線ぐらいの迫力は欲しいと思っていたところでした。円盤で見かえして、「ん?」と感じたのが効果音の演出もかなり甘かったことです。気のせいでなければ、あまり効果音を鳴らしていなかったし、ライティングもいまいちだった印象。左慈には早乙女友貴さんをキャスティングしているというのに……殺陣演出に熱が入っていないのでは?という歯がゆさ。

この印象があったので、今回『キングダムⅡ』は殺陣がかなりブラッシュアップされていたのでは?と感じました。……というより、私に馴染みのある光景になっていました。効果音の多用やライティングの細やかさは勿論のこと、二幕の終盤など、殺陣のそれぞれの見せ場を長く見せる大立ち回りや、フラットな舞台を活用し、大人数での殺陣を見せるなど、前作とは違った印象を受けました。 でも、前作同様この舞台の面白いところは「アッ、これは“歌う”ぞ!!→歌わない」の振りが多いところです。キャストの主戦場抜きにしても、間とか音楽の入り方から来る「めっちゃ歌いそう」感が相変わらず凄かったですね。やはり演出家の見せ方でそうなってしまうものなんでしょうか。まあ今回は摎が途中歌っていましたが……『SHIROH』を彷彿とさせる死者の歌のポジションとしての大塚千弘さん…… 

 

王騎将軍を山口祐一郎さんで見れて本当に良かった

前述で殺陣芝居が良くなっていたとは言ったものの、やはり全体としてはこの規模で『キングダム』の舞台化をやるなら、劇団新感線とか殺陣にこなれた演出家と役者で揃えて欲しかったという気持ちが拭えない。……が、東宝主催でなければ「王騎役:山口祐一郎」なんてキャスティングがまずなかったので、やはり感謝をしようと思う。前作からのこのキャスティングを経て、王騎将軍の幕引きとなる今作まで、山口祐一郎さんで見れて本当にに良かったと思います。王騎というかなり浮世離れした異質なキャラクター性が、山口さんの地の不思議さんっぷりと大物覇王オーラとガッチリハマって、これ以上ない奇跡が起こっていると思うんですね。映画版の大沢たかおさんの王騎もかなり上手くて面白く好きなのですが、山口さんは舞台演劇というある程度の誇張性が映える空間で、より二次元の印象のまま持って来たのが良いなと思いました。あんなシームレスに普通の台詞から「コッコッコッ」と言える役者はいない。

……というか、帝劇のレジェンド御年70になる御仁に、まだこんなにもハマる役どころがあるんだという奇跡ですよ。しかも漫画原作で、主人公が背中を追う位置のキャラクター。もうもはや、現実が漫画。 そして、今作からキャスティングされた王騎にとって大事な右腕の謄には、石川禅さんというキャスティング。あまりにも東宝・帝劇の文脈。しかも、摎には大塚千弘さんってもはや『レベッカ』で笑っちゃいました。いや、素晴らしかったです。特に、謄は好きなキャラクターなので、石川さんで見れて良かったですし、「ファルファル」もしっかり演出されていて良かったですね~!素晴らしい!

他にもキャストでは、前作より私は信役を高野洸さんで見ているので、高野さんの信らしさにまた感動しました。高野さん、ここ最近舞台作品は空いていた印象なので久々に舞台での姿を見れたこと、また前回は「帝劇初出演にして初主演」という重役だったこともあってか、かなり緊張していたかなという印象もあったので、今回は芝居にも落ち着きが見れてシンプルに上手くなったな~(謎の上から目線)という感じでした。あと、河了貂の華優希さんも良かったですね~。彼女に関しては、宝塚在籍時に宝塚ファンからのあまりにも心無い言葉を多く見かけてきたのもあり、彼女の役者としての良さは圧倒的に「芝居」だよなあと今回改めて感じ、役者として生き生きとしている様子を見て、じーんと来ました。良い意味で宝塚っぽくないよなあと思うなど。 

 

映画版は今後も続くようですが、舞台版はここで区切り良く完結でもいいのではないでしょうか。どうなんですかね。……円盤にならないようですし、そんな気はするけれども。繰り返し言いますが、本当にこれが残らないのは勿体ないと思うので、配信の常設や何かしらの視聴手段が今後もあるといいなと思います!

実は本作、初日を観劇した人の感想でやれトンチキだなんだと見かけることもあり、配信見ながら「トンチキなんて大袈裟な」と思っていたのですが、流石に馬が飛ぶところで「急に宝塚ナイズドすな……」とはなりましたね。『ベルばら』のペガサス、『ポーの一族』のゴンドラ。馬の演出が途中まで良かっただけに、飛ぶところでズッコケてしまいました。悪くはないんだが、私的にはあの場面は、将軍の見る景色を見せるべきだと思ったので、馬を飛ばすためにブラックアウトはどうなんだよ……!!と相容れなさを思いました。

 

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