あらかじめ申し上げると、だいぶネガティブに偏った感想になりますので、そのつもりでご覧いただければと思います。出来ればもう一回見返して確認したい気もしますが、劇場での再観劇の機会は無く、ライブビューイング見れそうに無いので、初見現時点での感想です。
https://natalie.mu/stage/news/623608
http://www.vi-shinkansen.co.jp/akaoni/
2025年劇団☆新感線45周年興行・初夏公演
いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective「紅鬼物語」
作:青木豪
演出:いのうえひでのり
SkyシアターMBSにて観劇。2階席真ん中前方でした。舞台との距離も近く、バーや前の人の頭で舞台が被ることもなかったので見やすかったです。ロビーが狭めなのが難かもしれませんが、全体的には満足度の高い劇場でした。
やりたい要素が多くとっ散らかった結果、何の話かわからない……
これに尽きると思います。「紅子の「鬼としての生まれと、人として生きたい」思いの葛藤」「鬼の紅子、人の蒼の儚き愛」「鬼も人も、食うか食われるかの運命」「人間の方がよっぽど邪悪な鬼」「人と鬼の共存」「鬼退治物語」……これらの要素に加え、劇団周年ものとして盛り上げたい、劇団員の見せ場多め、歌踊りギャグあり、柚香光さんの宝塚退団初舞台などもあり、色々やりたかったんだなあとは思います。
結果、メインキャラとメインストーリーがビックリするぐらい薄いって、そんなことある? こんなに面白い要素があるというのに、もう少しどうにかならなかったものか?というのが正直な感想です。加えて、当日身体のコンディションがよくなかった私は、笑い所で尽く鎮まり返り、イロモネアの最後まで笑わない人のようでした笑 なんか、笑い所もそんなに面白くなかったんだよな……新感線の笑い所のツボは浅い自覚があったんだけど……
鈴木さん友貴さんがいて、殺陣の見せ場が無いのも勿体無いと思うんですよ。殺陣無双しろとは言わんけど、ここが揃うなら見たかったよ、長尺一騎打ち。殺陣も、複数組合せの同時見せが多くて、どこ見れば良いんだかという感じがありましたね。
どうせなら『泣いた赤鬼』が見たかった
超個人的な意見です。これは開演前の私の予想でもあったんですけど、紅子と蒼で赤と青の対比で鬼退治ものなら、私がまず浮かぶのが『泣いた赤鬼』です。要素的にも似たものがあったので、「こっち路線じゃないのか〜!」と思いながら見てもいました。これも上手く使えなかった要素かねと思うのが、赤ん坊の藤を抱えながら蒼が言う「女子が武家(←ここの言葉選び違ったかも)の男の下に嫁がずとも生きていける世の中になれば〜」「紅子のような強い女子に出会って思った」あたりの言葉を拾った結末が見たかった気がします。結局、藤の落ちの付け方もよくわからなかったので。例えば、『蛮幽鬼』のミコトのラストシーンみたいな、「ここで本物の王となる」みたいな……
人と鬼は醜くも争い合うしか出来なかったけど、私(藤)と貴方(桃千代)はこれからもこの手を離さず、人と鬼の共存を実現してみせる、それがどれだけ険しい道のりだとしても(こちらに迫る村人たちの声でFO)……みたいなオチの付け方……
他にも色々あるんですけど、詰まるところ「やりたい要素ありすぎてとっ散らかってる」に尽きるので、コメントのしようがないなあというところの落ち着きました。女鬼物だと『阿修羅城の瞳』がある分、紅子と蒼の悲恋の部分もやろうとしたのは悪手ではとも思わずにはいられず、もっとシンプルな鬼退治ものにできないものかなとは思います。
それはそれとして、栃ノ木くんのビジュが5000兆点でした。