松下洸平さんは、18-19年『スリル・ミー』の時から知っていたものの、『スリル・ミー』が終わって少し経ったぐらいで、映像の方の売れっ子ロードに入ってしまい、舞台では縁が無くなるのだろうかと思っていたところにこちら。しかも、ミュージカルで、あの時代のアメリカもので、縁が巡ってきたなあと思いました。
https://natalie.mu/stage/news/608707
https://www.tohostage.com/KANEandABEL/
ミュージカル「ケイン&アベル」
音楽:フランク・ワイルドホーン
歌詞:ネイサン・タイセン
脚本・演出:ダニエル・ゴールドスタイン
翻訳:小田島創志 / 一川華
訳詞:竜真知子
東急シアターオーブにて観劇。渋谷駅直結の劇場。3階正面席で、目の前に柵がありましたが、細めの柵だったのでそこまで舞台上に被らず。私の座高では障害物にはなりませんでしたが、低めの人ではガン被りかなとは思いました。3階はかなり見下ろす角度だったので、キューブ型の舞台装置は、時折スポットの当たっていない中の部分まで筒抜けだったなとは思いました。
まるで少年漫画のような熱さ
昨今、少年漫画の熱さを描いたグラミュといえば、ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険』だと思います。原作は天下の少年ジャンプで、ジョナサンとディオの宿命の対決を歌に乗せた演出は見事でした。ただ、ジョジョミュはジョジョファン向けかなという感じがありました。ちょっと原作ミリしらでは、特に終盤の演出の脳内処理が追いつかなかったので。勿論、面白く見応えは抜群でした。その点で、同じ原作作品でも『ケイン&アベル』は史実の世界観をベースにしたため、突飛な描写も無く見やすかったと思いました。その上で、ジョジョミュで感じたような、男性同士のバッチバチの対立模様を歌に乗せた、まるで少年漫画のような展開には燃え上がりました。
個人的な好みで、性別年齢種族を限定せず、バッチバチの対立で憎しみの炎を燃え上がらせているミュージカルソングが大好きなので、『ケイン&アベル』は非常に私好みでした。キレ系復讐ミュージカル大好きなんですよ(なんだそのジャンル)。
「W松下」こと、ウィリアム役の松下洸平さんと、アベル役の松下優也さんは、想像以上に歌の相性がバッチリでしたね。デュエット曲の歌声のハモリや圧がバランス良くて聞きやすかったです。お二人とも、シンガーでもあるので、声楽ミュージカル的な歌い方では無く、ロック、ポップスな歌い方なので、歌い方の癖もお互いの良さを邪魔せず、むしろ引き立て合う感じがありました。また、お二人は配役もピッタリでしたね。素朴で育ちの良さが漂い、上品な佇まいの松下洸平さんが、ウィリアム・ケイン。体格の良さと美人な顔立ちながらも、内側に秘めるものが毎度魅力的な松下優也さんが、アベル・ロスノフスキ。
勿論メインは、ウィリアムとアベルの人生を賭けた対立模様ですが、ウィリアムとアベルそれぞれの1番側に立つ妻の姿も印象的でした。ただ待ち続ける献身的な姿……ではなく、歌で内なる怒りや呆れ、葛藤をぶつける様はどこかスカッとしました。中盤のウィリアム、アベル、ケイト、ザフィアの4人が歌う場面は迫力ありましたね。
本作は、フランク・ワイルドホーンミュージカルということもあって、久々に上質な新作ミュージカルを見たなと思いました。改めて、ミュージカルとはなんぞやという原点に帰った気がします。あったりまえなんですけど、歌う場面にちゃんと意味があるんですよね。そして違和感なく歌に入るんですよね。日本産と言われるミュージカルはこの辺がどうしてもイマイチな気がするんですよね……『ケイン&アベル』は世界初演であって日本産じゃないぞと強めに言いたい。ワイルドホーンの新作や。……にしても、私的には久々のワイルドホーンミュージカルだったんですが、彼の音楽の個性ってすごいですね。Overtureで、ワイルドホーンだ!となりましたし、音楽の力にワクワクされるんですよね。
世界初演を配信・パッケージ化無しと断言された件(3/3追記)
ミュージカル『ケイン&アベル』は
— 東宝演劇部 (@toho_stage) 2025年1月30日
残念ながら配信やパッケージ化は
ございません。2025年世界初演は
東急シアターオーブ、または
新歌舞伎座にてご堪能くださいませ。#ケインとアベル#松下洸平 #松下優也 https://t.co/kDRaNoZOqW pic.twitter.com/JC8PiKi6Wp
プチ騒動になったこちらの東宝演劇部の公式ポスト。
内情についてや権利関係について、いち一般人が憶測であーだこーだ言えません。でも、ミュージカルが好きな一般人としてまず思うことは、「世界初演なのに、なぜ音源や映像で残せないのか」「世界初演だからこそ、今後の再演や各国の上演に向けて、一般人にも届く資料が出せないのはなぜか」あたりです。本当に勿体無い。
パンフ読む限りでは、企画自体は東宝が立案したようにも見える。でも、海外クリエイターの作品だと、制作もキャストスタッフも日本人だと音源化・映像化ができないと。世界初演と大々的に謳ってこの結果か……と思わずにはいられない。……まあ、それはそれとして、例のポストの「残念ながら」って何よ笑 チケットの抽選結果みたいな淡白なテンション感でさあ、そういうところだぞと喧嘩腰になる気持ちを抑えられません。
世界初演のミュージカル『ケイン&アベル』が本当に素晴らしかったからこそ、このアナウンスは残念極まりないです。
※追記:3/3
世界初演ミュージカル『ケイン&アベル』ハイライト・ライヴ録音盤CD発売決定おめでとうございます。鋭意、予約購入させていただきました。
皆さんが声を上げた結果ですね……でも、そのあの、炎上商法みたいなやり方やめませんか?笑
/
— 東宝演劇部 (@toho_stage) 2025年3月2日
ミュージカル『ケイン&アベル』
2025年版キャスト ハイライト・ライヴ録音盤CD💿
発売決定🎊
\
多くのご要望をいただき、CDの発売が決定いたしました‼️
2025年夏発売予定。
ご予約受付中です。
世界初演の楽曲を存分にお楽しみください✨
詳細はこちらhttps://t.co/dWkmjoR3qz pic.twitter.com/TARfE5RA4d